散歩道<4427>
文化・定義集・大江健三郎・核の時代の混乱と霧どこへ
あいまいなまま続けさせるな(1) (1)〜(3)続く
チェルノブイリ原発事故の際、バルト海に面した農村に隠(いん)せいしていた、当時は東独の女性作家が書いた小説を、英訳で読みました。
福島原発の事故にあって、私自身が見聞すること、家族の話すことの多くに、これは覚えていると既視感(デジャヴュ)を抱いた根拠がこの本にはあると気付いて、書庫を探したけれど見つかりません。『沖縄ノート』裁判の勝訴の記者会見に都心に出て、乗換駅の大書店によってみると、事故の名をそのままタイトルにした邦訳が出ていました。クリスタ・ヴォルフ作、保阪一夫訳。(恒文社)
事故から五日目、実弟の脳腫瘍(しゅよう)の手術も重なった不安な一日を報告するかたちで、隣人たちへのこまやかな観察と深い思考が語られています。手術成功の電話を受けての深夜、夢を見て涙を流しながら目ざめると、大声で叫ぶのです。
・・・・この地球に別れを告げることになるのでしょうか?そうなったら、あなた、さぞ、辛いことでしょうね。
私はいちいち胸にきざんで再読しました。炉心溶解のおそれ、子供に牛乳を飲ませるな、ホウレン草もサラダもだめ。ヨウ素剤が買い占められたのは、子供の甲状腺を守ろうとうる母親による。
'11.5.18.朝日新聞・作家・大江健三郎氏
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