散歩道<4424> 
  

                         耕論・オピニオン・司法改革 その先は
                         弁護士増員 市民の目線で(2)             (1)〜(2)続く

 プロセス重視の教育で多様な人材を呼び込むという法科大学院の理念は素晴らしかったが、今や崩壊の危機です。司法試験合格率の低迷や経済的負担の大きさで、志願者が減少している。74校は多すぎる。教育体制が整わず特色に欠け、実績が低い都市部の大学院には、退いてもらうしかありません。
 心配なのは、司法修習生に国費で給与を払う給費制の存続が危ういことです。経済的に苦しい人が法曹への道をあきらめかねない。弱者の気持ちを理解できる法曹がすくなくなってしまったら、司法の自滅です。
 改革では、市民の相談窓口となっている日本司法支援センターの設立など一定の成果もありました。裁判員裁判で市民の司法参加が実現した。取調べの録音・録画・(可視化)など冤罪
(えんざい)防止の課題は残るものの、大きな前進です。
 ただ、一連の改革には「市民とともに変えていく」という視点が欠けていた。私は「市民の目線で第2次司法改革を」と訴えています。例えば、経済的に苦しい人への法テラスの支援は、現行の立て替えではなく、給付にすべきでしょう。裁判関連に限られている対象も、生活保護の申請支援などの行政手続きにも広げてほしい。
 弁護士も市民の信頼を得る努力をしなければなりません。東日本大震災の被災地では、まだ弁護士が不足している。壊滅的被害を受けた岩手県陸前高田市には弁護士事務所がない。今後も弁護士過疎地で弁護士を増やす取り組みを続けます。

'11.6.14.朝日新聞 日本弁護士連合会会長 宇都宮 健児さん  

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