散歩道<4410> 
 
                           耕論・オピニオン脱原発                    
                             
最悪のシナリオ回避の条件(2)                    (1)〜(2)続く 

 震災で、日本人の意識も変化した。風評に惑わされず、安全が確かなら、東北の野菜を買って支援しようという人々も多い。被災地のために何ができるか、自分サイズで考え、実行する。そういう行動様式の人が増えれば、公共性が再建できる。
 震災で壊滅したインフラを立て直すなら誰も文句がない。増税も支持されるかもしれない。従来型の公共事業には、税金の無駄づかいという批判がついて回った。ゼロからの再出発なら、政策の優先順位がはっきりするし、縁の下の力持ち的な仕事に光が当たる。社会の根本を考え直すよいきっかけになる。
 これまで日本人は国民国家に慣れすぎて、外国と手を結ぶのが下手だった。今回、世界から温かい手が差し伸べられた。連帯と共感の大切さを学び、日本がどう国際社会によって支えられているか、目を開かされた。
 ここから、世界の人々とのために何ができるか、日本の役割を改めて構想する視点が出てくる。子どもや孫の世代や、世界の人々との様々な困難に思いをはせ、心をくだく。それができればすばらしい。地震や津波は不幸な出来事だが、新しいステージに日本人の背中を押ししてくれたことになるのだと思う。

'11.5.10.朝日新聞、東京工業大教授・橋爪 大三郎氏

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