散歩道<4406>
面白い文章・半藤一利様・21世紀への伝言(文芸春秋)から
竹槍では間に合わぬ リンゴの気持ちはよくわかる
竹槍では間に合わぬ 東条を批判した新聞 1944. 2,23.
すでにマーシャル群島は占領された。米軍は太平洋の島づたいに、フイリッピンへ、そして沖縄、日本本土へと進攻作戦を展開しようとしていた。
東条英樹首相は叫んだ。
「戦局は決して楽観は許されないが、これを乗りきっておそ、必勝の道はひらかれる。国民は一大勇猛心を奮い起こすときである」
1944(昭和19)年2月23日、毎日新聞はこの激励にこたえて驚くべき記事をのせた。
「勝利か滅亡か、戦局はここまで来た」「竹槍では間に合わぬ。飛行機だ、海洋航空機だ」「今こそわれらは戦勢の実相を直視しなければならない。戦争は果たして勝っているのか・・・」
東条首相はこれをよんで激怒した。「海洋航空機」の文字にとくにカチンときた。軍需物資を陸軍が優先的にとっていることへの痛烈な非難、と読み取ったからである。報復はすさまじい。毎日新聞は発禁、編集幹部は辞職、そして記事を書いた記者には召集令状が発せられた。
散歩道<90>消火訓練・進駐軍、<4341>講演会・戦後映画、<検>戦争、<検>半藤一利さんの文章、
リンゴの気持ちはよくわかる 並木路子の「リンゴの唄」1945.10.11
この歌が戦争末期につくられたことを知る人は少ない。1945年(昭和20)年7月ごろ、空襲下に詩人サトウハチロー、作曲家の万城目正らが集まって、「やりきれない暗さに少し明るい歌を」と相談の結果、やっとでき上がった。とたんに終戦になってしまったという。
しかし、この企画はそのまま松竹映画「そよかぜ」の主題歌になって生き返った。映画が封切られたのが10月11日
リンゴはなんにもいわないけれど
リンゴの気持ちはよくわかる・・・・・・
国敗れて、瓦礫の廃墟と化した国土。その上に36年ぶりの凶作で、人々はさつま芋のしっぽで飢えをしのいでいた。そこにながれた歌である。
原色がまぶしいような、はずむリズム。わかりやすい詞。細くかわいい並木路子の歌声は、明日をどう生きればいいかと、疲れきった人たちの心の奥底にしみこんだ。日本人は敗戦のみじめさのなかに、この歌によって明るい表情をとり戻した
散歩道<4341>講演会・戦後映画、<検>戦争、<検>半藤一利さんの文章、