散歩道<4397>
経済気象台(459)・絆が疑心暗鬼に変わる時
政府広報は難しいものである。言い過ぎて揚げ足を取られてもいけないけれども、かといって固めに過ぎるあまり、過剰防衛で本来の広報機能を果たさないのも問題である。
広報とは、国民が知りたいと思っているデーターを含む情報をタイムリーかつ十分に提供し、政府としての考え方もきちんと述べることである。さらにその繰り返しにより国民の政府への信頼感を醸成することが重要である。さらには、広く海外の人たちの信頼感をも得ることが必要になってきている。
福島原発による放射能汚染の問題が長引くにつれ、海外の人たちの疑心暗鬼を招き、来日観光客の減少や、日本の農産物の買い入れ忌避につながっている。不確かな情報に基づく風評被害の責任は、人々が必要としている情報をきちんと正面から提供していない日本政府にもあるといえよう。
政府は国内でも引き続き海外メディアへの広報を行うとともに、在外公館を通じて各国政府や現地メディア向けの積極的な情報提供も継続して行うべきである。
被災直後こそ、日本への支援が各国から相次いだものの、原発事故の処理が長引いている上、その情報提供の内容、仕方などの不手際がそれに輪をかけ、海外の人たちは疑心暗鬼に陥っているといえよう。疑心暗鬼の気落ちがさらに募ると、航空機・船舶の来航忌避にまで広がり、原材料や部品、製品の流通まで齟齬(そご)をきたすことにもなる。
いわば日本忌避ともいうべき状況になると、経済全般が受けるダメージは一段と大きくなる。政府はこうした事情を認識し、原発事故対応に全力を挙げるとともに、政府広報にも意を配らなくてはならない。