散歩道<4396>
経済気象台(658)・復興構想は被災現場から
菅直人首相の復興構想会議にかける意気込みは大きいようだが、その「思い」は伝わってこない。いや率直に言って、その中身はきわめて空虚だ。「復旧ではなく復興」「夢の先取り」「日本全体の活性化」などが繰りかえされているが、今回の災害であろうがなかろうが、言えるレベルである。こんな方向付けでは復興会議は間違いなく迷走するだろう。
なぜこんな凡庸な思いしか抱くことができないのか。一つのは、被災地を訪れ、被災者の声に耳を傾ける機会の頻度と質の低さだろう。現場に立ったうえでの熟慮、熟議が見られず、被災者たちはもちろん、国民の心を打つ言葉を紡ぎだしていない。
不思議なのは、あれだけ「生活が第一」と主張してきた党の代表でありながら、生活の復興という視点が具体的に述べられていないことだ。農水産という生業を持ち、地域の自然条件の中で生産と消費が一体として進む生活、そしてそのコミュニティーの破壊が500`にわたったことに思いをはせるなら、神戸(阪神大震災)や帝都(東京大空襲)は全く参考にならない。
また「夢の先取り」というなら、被災者の農水産業を中心とした生活再建が将来の日本の希望になることを言わなければならない。この点でいかなる夢を抱いているのか。しかも「TPP(環太平洋経済連携協定)で第二の開国」と主張してきただけに、TPPとの関係も語らなければならない。
中央に会議を構えるのも大いなるピントはずれだ。中央に可能なことは、幹線交通網などのインフラ整備と、細かな資金供給の仕組みの確立である。会議は被災者の体温を感じられる地域で、各県が復興構想を競い合う場とすべきだ。
'11.4.23.朝日新聞
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