散歩道<4387>

                              組織の読み筋・下請けの罠            
                             「顧客思考」が視野を狭める(1)            (1)〜(3)続く

 東日本大震災は、はからずも、東北地方に多数の重要なものずくり拠点があることを世界に知らしめることになった。被災者には、大手メーカーの3次、4次の下請け企業が多数存在し、その企業の部品や材料がそろわない限り、日本国内ばかりでなく世界各地でも操業が止まる工場が相次いで出現している。
 しかし、それほどまで重要な拠点だったのに、それら3次、4次の下請け企業が大もうけしていたという話はあまり聞かない。もちろん一部のは稼いでいたのであろうが、「不可欠な部品」を提供している割に、もうからない会社がある。これはなぜだろうか。
 理由は多様だが、典型的なのは、「その部品は不可欠であったが、その会社は不可欠ではなかった」というものであろう。つまり、いま現在の「その部品」に注目すれば不可欠に見えるが、それを生産できる会社は潜在的に多数存在し、実際には競争が激しい、ということである。

'11.5.20.朝日新聞・一橋大商学部長・沼上 幹さん


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