散歩道<4377> 
        
                         耕論・オピニオン・原子力村
                            
実は縦割り異論許さず(1)            (1)〜(2)続く 

 3月末に、私を含めた原子力専門家16人の連名で福島第一原発事故についての緊急提言を出し、原子力専門家の総力を挙げて事故収拾に取り組むよう訴えた。だが、状況はまったく改善されていないように見える。
 その背景には、「原子力村」の縦割り構造がある。まず経済産業省の下に資源エネルギー庁と原子力安全・保安院がある。文部科学省傘下には日本原子力研究開発機構などの研究機関。内閣府に原子力委員会と原子力安全委員会が置かれている。省庁間の壁のために、原子力関係者の連携がとりにくい。
 昔は原子力委員会の下に旧日本原子力研究所が置かれ、行政組織として旧科学技術庁があって、一本化されていた。それが行政の縄張り争いで複雑になり、01年の中央省庁再編でさらにおかしくなってしまった。
 いま主流となっている軽水炉による発電事業は経産省の管轄なので、文部省傘下の研究機関は軽水炉よりも、高速増殖炉や核融合炉を主に研究した。その結果、軽水炉の研究やそれを支える人材が払底した。
 私の見るところ、東京電力は、軽水炉はもはや完成された技術で、安全研究など余計な研究開発をする必要はないという態度だったように思える。最大電力会社が技術に対する謙虚さを失ってしまったことが、最悪の結果を招いた。
 
'11.5.20.朝日新聞・前原子力委員長代理・田中 俊一さん 

関連記事:散歩道
<4336>原発推進派・原子力の選択肢を放棄するな、<4338>原発反対派・「安全神話」もとから「おとぎ話」<検>災害、<検>社説、<検>政治、