散歩道<4375>
耕論・オピニオン・3・11復興考
街の再建、時間・手間かけ(2) (1)〜(3)
街を完全にリセットして、高台にコンパクトシティーやエコタウンをつくるという構想があります。被災地は人口が減っているエリアが多いので、コンパクトシティーというのは分からなくもない。ただ、ゼロから理想都市をつくろうというのは、経済系の人の発想ですね。
思っているほど街はまっさらになっていないんです。気仙沼は、テレビで見ると重油が流出して街全体が焼けたという印象を受けるけれど、実際に焼けたのは1部。地形が複雑に入り組んでいるので、ここはやられたけど両隣は残っているようなところがあちこちにある。
今回、忘却が津波の被害を大きくした。復興する時には、津波の記憶も含めて街の歴史の継承が重要です。例えば女川では、あえて部分的にでも廃墟を残すことも考えられる。4階建てのビルですら根こそぎ倒れたという自然の脅威を後世に伝える為に、広島の原爆ドームみたいに、壊れたビルを残す。
仮設住宅の設置には、確かにスピードがいると思います。ただ、次のフエーズの復興に関しては、あまり急ぎすぎるのはどうでしょうか。へたな復興も街を破壊してしまいます。
まず、震災前の町の姿をもう一度細かく調べ、いまの状態との違いを検証しながら、住民を含めてどうしたらいいかを考えていく。時間と手間がかかる作業なので、大学などの研究機関に協力してもらうう。全国の大学と被災した各市町村が連携して復興計画に関与できれば、きめ細かになるはずです。
'11.5.19.朝日新聞・東北大教授・五十嵐 太郎さん
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