散歩道<4348>

                            社説・大震災と憲法(2)               (1)〜(2)続く
                            公と私をどうつなぐか

  一方、地域再興や防災強化の観点からは、私有地の土地利用を一定程度制限するのもやむを得ない場合がありえるだろう。
 政府は自治体とともに早急に青写真を描き、私権制限がどこまで必要なのか、どのような手法をとるのかを具体的に示し、被災者の理解を得るよう努めなければならない。
 こうした公と私のぶつかりあいを、憲法改正で乗越えてしまおうという議論も改めて出てきている。非常事態条項を新たに盛り込むべきとだいう自民党内などからの主張である。
 大規模震災時に政府の権限を拡大し、国民の人権を制限する。当然、日本有事への即応に役立てることも念頭にある。
 しかしそれは、同時多発テロ事件後の米国で見られたように権力へのチョック機能が失われる危険をはらむ。民主主義体制そのものを侵食しかねない。
 現行法の枠内でも可能なことは少なからずあるはずだ。そのうえで今の憲法や法体系にどんな限界があるのか、しっかり見きわめる。非常時だからこそ、冷静な姿勢が肝要である。

'11.5.3.朝日新聞 

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