散歩道<4327>
仕事力・君の人事権は、自分にある(4) (1)〜(4)続く
個の人生を支える仕事へ
変化に対応できる 幸せな働き方を考えよう
バブル崩壊後、多くの企業で早期退職が実施され終身雇用は崩壊したといわれています。では個人は生涯の仕事をどう考えればいいのか。企業に頼った働き方だけでは、これからの将来に不安な気持ちをもっている人も少なくないのではないでしょうか。個人が企業に頼らず、定年や年齢にかかわらず働くには、社会インフラの整備も必要になります。日本は長い間、終身雇用を前提にした、いわば「企業依存社会」でした。例えば会社員なら難なく組める住宅ローンも、組織に属さない個人事業主にとっては容易ではありません。大手企業の社員や公務員でありさえすれば社会的な信用度が高いとされ、その結果、社会に出て働くことは企業や組織に就職することだと多くの人が認識していました。
しかし、女性の社会進出や価値観の多様化により、企業に就職することを望まない人が増えています。例えば転勤を言い渡されても家庭の事情で難しいとか、男性も子育てや介護で仕事を中断することもあります。そういう個人の状況に合わせた柔軟な働き方が出来ないと、様々な人々が働き続けるのは難しい。
私が35年前に人材派遣業で起業したのは、働き方を個人主導にしたかったからです。国民は労働力ではありません。それぞれ社会で何がしたいのか、働くとはその人の「生き方」そのものでもあります。しかし日本では、いまだに働き方や雇用形態によって差別されています。非正規雇用、「つまり正規に非ず」などと言う表現は海外にはありません。人の生き方がそれぞれある以上、働き方も多様でなければならない。そのためには雇用形態に関わらず、個人が活躍できる社会環境が望まれます。
オーディション型の 雇用でつながる
企業と働く人間がイコールで結ばれる「個人自立社会」。これが私が考える柔軟で幸せな働き方です。例えば映画作りの現場などでは作品ごとに俳優やカメラマン、照明、音声、大道具、衣装といった独立した専門スタッフが監督のもとに集まり、制作のためのプロジェクトチームが結成されます。私はこれを、「オーディション型雇用」といっていますが、こうした形態でプロが集まる仕組みが、これからの企業の中にもっと広がると思います。
どういう働き方で何歳まで働くかは個人が決めることです。もちろんやりたい仕事に就くために自分の能力を鍛え、努力することは必要です。そして若い人は社会に出る前から自分の向き不向きを判断することは難しい。だからどんな仕事であっても、まずは社会に身を置いて何ができるのか、何をやりたいのか、挑戦することです。その時に雇用形態は重要ではありません。目的さえあれば、フリーターであっても若くして起業に挑戦してもいいと思います。
社会の環境は大きく変わっています。仕事や働き方も時代に合わせて変化させる。個人が活躍できる環境を創り、個人の力を強くすることが、それぞれの人生を主導する仕事力になると思います。
'11.4.10.〜5.8朝日新聞・パソナグループ代表取締役・南部 靖之氏
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