散歩道<4319>
オピニオン・インタビユー・歴史的危機を超えて(5) (1)〜(6)続く
ふつうの人々も「原発」議論重ね 世界引っ張る力に
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・・・ダワーさんが「敗北を抱きしめて」で描いた占領期の日本の姿に通じるものがあるのでは。
「本は当初、『打ちのめされた国で最初からやり直す』というタイトルで考えました。敗戦直後は、親や夫などの家族を失った人々が日本中にあふれていました。家もないし、職もない、何もかも失った人々が、よりよき生活を求めて必死に日本を再建したのです。政府だけでは有りませんあらゆるレベルで信じられないほどの活気あふれる精神がありました。その精神を、日本人はその後の繁栄の中で失ってしまった。ふつうの人々が政治に積極的に発言する、そんな参加型民主主義の精神を取り戻してほしいと思います」
・・・具体的には,日本はどのような課題に取り組むべきでしょうか。
「大震災が起きた3月11日の前に日米両国がもっぱら考えていた危機は、核兵器とミサイル開発をしている北朝鮮からくるものでした。しかし、実際の核の脅威は、外からだけでなく、自分の内にもあったのです。被爆国である日本が原発事故という形で新たに放射能の恐怖に襲われたことは、これは歴史の悲劇的な巡り合わせとしか言いようがありません」
「日本は国策としてどんどん国内に原発を建設してきました。原発はクリーンで安全なエネルギーだから、温暖化防止にも役立つとされていました。原発を推進する側に透明性が欠けていたり、安全神話にあぐらをかく傲慢(ごうまん)さがあったとしたりしたとは思いますが、まじめに原子力エネルギーを推進しようとしていたのは事実です。問題は、この事故を受けて、エネルギー政策をどう考え直すかということです。いままでの議論は幅が狭かった。原子炉をどう守るかという議論ばかりしていましたが、今回の使用済み核燃料の問題は『使用済み』という言葉と裏腹に、非常に危険で取扱に注意を要するものだということも分かりました。原発の安全を根本から考えなおさねばなりません」
'11.4.29.朝日新聞・米国の歴史家・ジョン・ダワーさん
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