散歩道<4294>
社説・イレッサー判決・(1) (1)〜(2)続く
欠陥情報が広げた被害
肺がん治療薬イレッサーの副作用被害をめぐる裁判で、東京地裁は製薬企業と国の双方に損害賠償を命じた。最大の注目点だった国の責任について、判決はこう指摘している。
販売を承認した際、死に至る副作用があることを国は認識していた。医師向け文書にそのことを記載するよう企業に行政指導はしたが、目立たぬ表記にとどまった。もっと明確に記載させるべきで、国には権限を適切に行使しなかった違法性がある・・・。
先月の大阪地裁判決が、国の対応を「必ずしも万全ではなかったが、違法とまではいえない」としたのに対し、大きく踏み込んだ判断といえる。
東京地裁は「営利企業が不利な情報を進んで記載することは十分には期待できない」とも述べ、だからこそ国の役割は重要だとした。残念だが「患者よりも利益」という体質は、過去の薬害企業に共通する。そういう現実がある以上、国民を健康被害から守れるのは政府をおいてほかにない。
過失ありとされたことに反発し戸惑うよりも、判決の根底なる薬事行政への期待をこそ、この仕事に関わる人はしっかり受け止めて欲しい。
'11.3.28.朝日新聞
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