散歩道<4284>
経済気象台(655)・不況を呼ぶ過剰な自粛
スケートの世界選手権大会をはじめ各種のイベント・講演会の中止や延期が相次ぎ、なかなか止まらない。企業も入社式や行事を中止し、個人旅行の予約も大幅に減っているようだ。
被災地のことを知れば、誰もが浮かれた気持ちになったり、自分だけ楽しんだりすることができるはずもない。被災者への同情を持ち続け、支援はしっかり行いたいと思う。
一方、3月28日付きニューヨーク・タイムスは、「津波後の日本は自粛という新たな強迫観念に襲われた」との見出しで、犠牲者への弔意から日常の活動を縮小するようになり、国民経済への悪影響が懸念されると伝えたそうだ。筆者も同じ懸念を持っている。
内閣府によれば、今回の大地震は、企業設備の損壊などの生産減で、2011年度の実質国内総生産(GDP)を1.3兆〜2.8兆円押し下げる。
しかし、これには計画停電や原発事故の影響による生産減や、消費・投資への影響は含まれていない。実はこの部分が非常に大きく、同時に示されたインフラなどの復興需要 5兆〜8兆円を上回ると予想する向きが多い。
ちなみに東京電力管内のGDPは213兆円で全国シエア41%を占める(07年度)。この地域で、あれもこれもと無定見にイベントの自粛を続ければマインド不況を呼び込みかねない。
被災者への連帯の気持ちは、自らを被災者と同じ状況に置き、その状況下で可能な範囲でしか行動しない、ということではない。そんな過剰な自粛は、被災者にとって迷惑な話でしかない。
高校野球のように、主役である選手の気持ちを大切にした上で工夫を凝らしたイベントを期待したい。
'11.4.15.朝日新聞
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