散歩道<4281>

                       経済気象台(652)「文化」は「復活」するか

 プロセス・イノベーション(工程革命)もプロダクト・イノベーション(製品革命)も、日々仕事を考えることで成り立つ。また課題の発見に比べれば、課題を克服することのほうがより容易であるともいえる。
 しかし、それは経済合理性を基礎とする企業の話である。廃墟となった地域社会の場合はどうだろう.全ての建物や機能が新しくなった「まち」にかっての
「文化」あるいは「匂い」といったものが「復興」するだろうか。
 5年前に没した都市論の泰牛ジェイン・ジェィコブは活力の「まち」の四つの条件を示した。@いくつかの機能を持っている(オフイスや住宅あるいは商業に限定しない)Aブロックが短く街角を曲がる機会が頻繁であるB新しい建物と古い建物が混ざっているC密度が高い。 
 1970年前後に建設されたのニュータウンの多くが空洞化しているのはこの条件の欠落による。阪神大震災にあった神戸市の場合も、高層マンションと大きな道路を中心に整然と「再開発」した地域で、どうみてもかっての「魅力」を取り戻しているとはいえない。
 たくさんの「まち」が流されてしまった今回の災害からの「復興」の難しさは、技術や資金にあるのではない。どうしたら地域の「文化」を「復興」させることができるのかにある。
 問われているのは構想力である。それは廃墟からの「復興」の事例を徹底して集めることから始まる。神戸や西宮の経験のなかから「なにをすべきではなかったか」を学ぶことはとても大事だ。
 危険なのは「整然とした合理性」の誘惑である。個性を作るのは時間がかかる。

'11.4.2.朝日新聞

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