散歩道<4280>
経済気象台(651)・大震災の輸出への影響
東日本大震災以前の2月の貿易統計では、わが国の輸出は対前年同月費9%増と前月に比べ伸び率がやや高まった。これは中国や、インド、タイなど輸出の56%を占めるアジア向けが引き続き好調なことが主な要因だ。このほか景気回復の兆しが見える西欧向けが伸びたことや、米国向けは低い伸びであったが堅調に推移していることによる。
輸出商品では金属加工、建設などの一般機械や鉄鋼製品が伸びており、海外の鉱工業生産や建設需要が好調であることを反映している。このまま推移すれば、わが国の輸出は回復を続ける世界経済に牽引(けんいん)されて。1桁後半の伸びを維持するものと思われた。
海外市場は中東地域を除き全般的に堅調であり、わが国経済は厳しいグローバル競争を勝ち抜くことで持続的な成長を得ることができるが。今回の大震災と原発事故は、わが国の輸出にも新たな試練を課している。
第一は、東北、関東に集積する自動車、電子製品、部品、素材の生産停止による供給不足とそれによる海外企業の日本品離れである。第二は、原発事故による日本製品に対する検査体制の強化や風評による被害、そして原発輸出への影響であろう。第三は、さらなる円高、そして震災に伴うTPP締結や法人税減税の遅れも日本企業の競争力を大きく損なうことになろう。
今はまず、原発からの放射能の拡散を食い止め、正常な日常生活や生産・流通活動を1刻も早く取り戻すように国民が一丸となって取り組むことである。この苦境を克服して、災害に強い国造りと内外の生産・流通体制作りを進めていくことが、日本経済や日本企業の強みとなることを信じて前進したい。
'11.3.31.朝日新聞
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