散歩道<4278>
経済気象台(649)・大震災後のビジョン
未曾有の大震災に見舞われた日本はこれからどうなってしまうのか。多くの人がこのような不安を抱いているに違いない。直接的な経済的破綻は、阪神大震災(10兆円)を大きく上回り、16兆〜25兆円に達する可能性がある。復興需要によって、いずれ経済活動は持ち直すだろうが、人的・物的試算の莫大(ばくだい)な損失が、長期に亘り日本経済に及ぼす悪影響を埋め合わせることはできない。
しかし、日本の国民や企業はたくましい。
それは、日本経済の歴史が如実に示している。戦後の経済復興や高度成長は、それまでに蓄積されていた日本の優れた技術やスキルが、国民の旺盛なチャレンジ意欲を背景に、設備投資や労働力に体化されて実現したものだった。石油ショック後も、省エネ・省資源への努力によって,日本は高い付加価値と強い競争力を獲得することができた。
大震災を契機に、長期経済停滞の下で萎縮していた逞しさやチャレンジ精神が復活する可能性は決して小さくない。政府はそれを後押しすればいい。さらに、大震災後の日本のビジョンを描くことも重要だ。世界金融危機が明らかにしたのは、日本の経験がもつ普遍性だった、バランスシート不況とそれへの対応など、日本の経験が参考となったものは多い。
同じように、災害に強い国造り、省エネ・省資源構造への転換、環境負荷の低減、高齢化社会における社会保障制度改革、若者が活躍でき格差が小さな社会など、日本の試みがグローバルな普遍性を持ちうる流域はたくさんある。そこでの先駆者となることをビジョンに据えて改革を進めれば、日本経済は新たな活力を得ることができるのではないか。
'11.3.25.朝日新聞
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