散歩道<4249>
ザ・コラム・復興へ (1)〜(3)続く
できるだけ「東北産」買おう(1)
未曾有(みぞう)の巨大地震が日本を襲った。まず被害者救済に全力を尽くすのは当然だが、それでことは終わらない。社会資本や生産拠点の建て直し、被災者の生活再建など、復興のための膨大な仕事が待っている。
いま被害総額と復興費用を示すのは難しいが、1995年の阪神淡路大震災が参考になる。地域的には今回の方がはるかに広いが、住民数はほぼ同規模だ。では、阪神地域が約8兆円であったのに対し、今回は10兆円程度と試算される。復興資金は、阪神淡路の場合、国と地方などすべてを含め10年間合計で約16兆円であり、最大だった1年目でも約5兆円だった。
この程度なら日本の生産力はまだまだ余裕がある。実際、不況のせいで余っている生産力は50兆円前後とも考えられる。
重要なのは、この力を復興に結びつけることであり、それには経済活動を着実に続ける必要がある。自粛ムードも高まっているが、それで経済活動を止めたら、復興はかえって遠のく。被災地での物不足は道路や港が壊れて物流が滞ったためであり、早晩回復する。日本全体の生産余力は十分だから、他の地域で消費を控えても無意味だ。
普通の生活を維持し、出来るだけ東北や北関東の部品や最終財を買う「バイ東北」運動を推進する。それで被災地域に安定した仕事と所得が生まれ、住民が自ら働いて地域を再建できる。これなら一時的な義援金より持続的で大きな効果がある。
日本経済の衰退が言われて久しいが、それは、需要不足で供給力が余って起こる贅沢な不況である。その為、余剰労働力を無駄ではない仕事に向ける方策が必要であった。しかし、今回無駄なものはない。緊急に必要な物ばかりで、政府も支出をちゅうちょする理由はない。
'11.3.23.朝日新聞・大阪大フェロー・*1小野 善康氏
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