散歩道<423>b
              世界の窓・日中の両国が色眼鏡はずして日中関係が本当に解り易く説明されている。

 日中が 1つの大きな曲がり角にさしかかりつつある今日 われわれは、日中関係をさめた冷静な目で見、卑しくも、特定の色のついた色眼鏡で見ないことが重要である。冷静な見方はまずもって歴史的観点を踏まえたものでなくてはならない。歴史的に見て、日中両国が直視しなければならない冷厳な事実は、中国が日本の近代化にとって「反面教師」であったという事実である。阿片戦争前後から中国の半植民地化、内部分裂、旧態依然たる中華秩序への執着・・・・・そうした中国の姿は「そうなってはならぬ」見本を日本に提供した。そこから日本の中国侮蔑(ぶべつ)感と中国への欲求不満が生まれた。他方、中国にとっては、日本は「洋夷」(ようい)であり、やがて中国を踏み台にして世界の列強の仲間入りを果たした。「鬼子」であり、その結果「日本」は中国の民族的ナシヨナリズムを結集するためのマイナスのシンボルとなった。そこに中国の「反日」の原点がある。こうした歴史過程は、巨視的に見ると日中両国は、西欧型近代化という色眼鏡を通して相手を見てきたことを意味する。現代においても先進工業国たる日本、開発途上国の中国という観点が、日中関係の基礎をつくっているが、このことは、西欧近代文明というサングラスを依然かけたまま日中両国がお互いを見ていることを意味している。けれども、今や日本と中国が相手を「西欧近代文明」という色眼鏡で見る時代は去りつつある。なぜなら、日中両国の経済発展によって、両国は、地球環境と資源、人口動態、文化的刺激などの面で世界的衝撃を与えつつあり、同時に両国は、世界的規模での政治的、経済的責任を負わなければならない状況に立ち至っている。西洋という色眼鏡を捨て世界という色眼鏡をかけてお互いを見れば、日中両国は真のパートナとして協働しなければならぬ時代に突入している。それだからこそ中国への政府開発援助は見直さねばならず、新しい理念の下での協力という形へ転換されなければならないのだ。日中関係を世界的次元で考え直すにも、実は、両国はもう1つの色眼鏡を外さなければならない。それは、「中国文化圏」という色眼鏡である。同文同種、漢字文化圏といった言葉によって、多くの人々は日本と中国が「中国文化圏」に入ってるという前提で、両国関係を考える。日本と中国はいまや文化的同質性より、その異質性にこそ目を向けなければならないのだ。最後に、日中両国が外さなければならない第3の色眼鏡がある。「それは戦争にまつわる国民感情」というというサングラスである。今や、日中両国は、国民感情よりも客観的な歴史上の事実を直視しなければならない。何人も否定できない歴史的事実は、日中戦争において中国は戦勝国であり、日本は敗戦国であるという冷厳な事実である。負けた以上、日本は敗者として常に謙虚でなければならぬ。それが国際政治のおきてであり、又、敗者のほこりである、なぜなら、敗者が自省することは、中国が軍事的威圧を日本にかけるような大国主義に陥らないようにする為にこそ必要だからである。他方、中国は自分が日中戦争の勝者であるという冷厳な事実を直視せねばならない。勝者は敗者に対して寛容でなくてはならぬ、中国が日本軍国主義の再来を本当に恐れるのなら、中国は「過去」を問題として「儀式された復讐」(東京裁判におけるパール判事の判決文の表現)を行うべきではない。

'05.1.19.朝日新聞・世界の窓・小倉和夫様(国際交流基金理事長)の話

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12.5.26.朝日新聞・2020年の東京五輪招致の国内まとめ役になられた。

                                       

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