散歩道<4235>
社説・放射能と避難(2) (1)〜(2)続く
予測生かし、きめ細かに
科学技術がからむ災害に混乱なく立ち向かうには、専門家とそうでない人々の信頼関係が欠かせない。
原子力安全の元締めの専門家が、自らの指針に照らして深刻な事態を公表したというのに何も手を打たないのでは、発信されるメッセージに信頼感が伴わない。
たとえ強めの対策を促して、大げさすぎたと後で言われたとしても、そのほうが信頼を損ねないだろう。
スピーディが教えるのは、いま第一原発の周辺では、避難域の外でも放射線物質による汚染がまだら模様に進んでいるらしということだ。
求められるのは、よりきめ細かく住民を守る対策だ。
避難域を一律に何十`も広げることは、人々に大きな負担を強いる。患者が搬送中や搬送後に亡くなるという不幸な事例も今回、私たちは見た。
それならば、急いで考えるべきは、円形にこだわらない避難域の設定だ。測定値や予測値を生かして、でこぼこや飛び地でも必要な地域を定め、子どもや妊婦のように優先度の高い人に遠く移ってらうこともありうる。
スピーディは、放射性物質がどちらに飛ぶかを刻々予測するためにつくられた。場所を絞り、時を選んで、避難を促すための強力な道具なのだ。これを生かさぬ手はない。
'11.3.25..朝日新聞
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