散歩道<4222>
社説・震災から10日(3) (1)〜(4)続く
人の強さを信じて進む
使命感を胸に
災害直後の緊張が解け、沈み込む人が増えている。ストレスと疲労は限界に近づいている。絶望と孤立感が、生き延びた命を刻々と削る。
もっと急がねば、救援をもっと厚くしなければ。
福島県相馬市の避難所で被災者自身がボランティアを組織した。班長の一人、大谷亮一さんは「私らは生きのこった。感謝の気持ちなんです」
近くの病院にひびが入り、患者が身を寄せた岩手県立釜石高校。学校に寝泊りする生徒が支えとなった。体育舘入り口に、避難者向けの寄せ書きがある。「上を向いて歩こう」と。
災害の最前線には、使命感を胸に体を張る職業人たちがいる。
原子炉近くでは、東電や関係する会社の社員が危険な作業を続ける。
自衛隊員、消防隊員が応援に入った。真っ先に被災地に入り、多くの人を救い出したのも彼らだった。
大きな揺れの後、町を守ろうと水門へと走った役場職員がいた。海上保安官、医師や看護師、福祉施設職員、教師、トラック運転手、コンビニ店長、後方でフル回転する公務員・・・。
想定を超える事態に混乱も起きている。だがその働きぶりに思のは、幾多の災害を経て蓄えた教訓が、多少なりとも生きているということだ。
被災地から遠く離れて暮らす市民も無関係ではいられない。
海外から安否を気遣うメールを受信した人は少なくないだろう。日本のことを、みな案じてくれている。多くの国からの支援の申し出も心強い。
関東では計画停電に振り回される毎日だ。催しの中止や延期、商品不足。不便さはじわじわ広がる。農産物の放射線物質の数字も心配だ。雲のような不安が頭を覆いそうになる。
'11.3.21.朝日新聞
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