散歩道<4223> 

                         社説・震災から10日(4)                    (1)〜(4)続く
                            
人の強さを信じて進む
                           

しなやかな市民社会
 他方、長い行列やすし詰めの電車の中を、人はいら立ちを抑えて耐えている。ネット上では、デマを打ち消し、本当に必要なことは何か探ろうとする共助空間も生まれている。
 政府が積極的に情報開示をするべきなのは言うまでもない。市民もまた、冷静に事態を受け止め、自立する力が、求められているのだ。
 全国の自治体で被災者を受け入れる動きが広がる。胸裂かれる思いでふるさとを離れた人を、どう迎えるか。それぞれの町で市民にできることが、格段と増えている。 熱き心と冷たい頭で、市民社会のしなやかさが問われている。
 震災から10日。防波堤、建造物、原発・・・。思い知らされたのは、人間が築いたものがいかに頼りないか、ということだ。政府の動きを含め、後から検証すべきことは山ほどある。
 一方で、人を救うのも、支えるのも人だということを、学びつつある。そう、私たちは少し前まで、寒々とした弧族の国できずなをどう結び合うのか、思案していたのだった。
 東京消防庁の隊員は妻に「安心して待っていて」とメールを打ち、原発に向った。石巻市では、流された家に閉じ込められていた80歳の祖母と16歳の孫が、9日ぶりに救助された、被災地で生まれた新しい命もある。
 誰かがいれば人間は強くなれる
*1
 信じよう。春はあと少しで来る。


'11.3.21.朝日新聞 

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