散歩道<4221> 

                         社説・震災から10日(2)                    (1)〜(4)続く
                            
人の強さを信じて進む
                           

救援をもっと厚く
 被災者は次第に、大量の死という現実に向き合いつつある。大災害はともすれば、数百、数千という数字で語られがちだ。でもその一人ひとりに、海辺の町で過ごした豊かな時間があったことを、心に刻みたい。
 絵を描くのが好きだった宮城県石巻市の佐藤愛梨ちゃん(6)。15日が卒業式のはずだった。幼稚園のバスの中で見つかった。
 同県東松島市の自宅の前で仰向けに倒れていた熱海つよしさん(79)。息子が母を捜したとき、笑ったような顔をしていた。
 長い、つらい、悲しみの時が続く。営んできた暮らしがそっくり流され、その立て直しも重い課題だ。
 ともに泣き、じっと耳を傾け、支えたい。地震翌日、被災地入りした記者に「町の惨状を早く伝えて」と訴えた人がいた。その言葉も忘れまい。
 三十数万人が、不自由な避難所での生活を続けている。
 福島原発の周辺に住む人は、故郷がどうなるのかという不安とともに、村ごと退避を強いられた。地震、津波、原発事故の三重被害だと、怒りを込め訴えた市長がいた。
 先週は真冬の寒さが各地を襲った。避難中に亡くなる人が相次ぐ。薬も飲み物も食べ物も暖かさも、足りない。物資は滞り、被害が大きい所ほど届きにくいジレンマもある。


'11.3.21.朝日新聞 

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