散歩道<4218> 
   
                         オピニオン・3・11
                          
すべてが後手後手に回る(1) 
                   (1)〜(2)続く

 2011年3月11日。巨大地震と大津波が襲ったこの日を堺に、私たちはいやがおうなしに、これまでと全く違う日本に生きなければならなくなった。何が崩れて、何をしていかなくてはならないのか。3・11を考えてゆく。

 長年、原子力の研究・開発に携わってきた人間として、今回の福島第一原子力発電所の事故には、何よりも国民の皆様に申しわけないとの思いを抑えきれない。
 大地震が起きた時、原子炉は「止める・冷やす・閉じ込める」の三つが大原則だ。第一段階で制御棒を入れ,核反応を止めたことでは成功したといえる。ただ、制御棒はしっかり入っているのか。計器上ではそうなっていても、別の方法でダブルチェックすべきなのだが、その情報がない。核反応がきちんと止まっているかどうかは一番重要なことなのに、制御棒位置についての発表が何もないことが気になる。
 海水を注入して原子炉を冷却するという前例のない方法に、廃炉覚悟で踏み切ったことは、設置者の判断としては正しい。だが、判断のタイミングはいかにも遅かった。すべてが後手後手に回っている。発表はさらに遅れている。
 2号機の燃料棒が、核反応停止から2日経たとはいえ、数時間も完全に露出したのは、絶対にあってはならないことだ。設置者の危機管理能力の欠如が露呈した。        

'11.3.16.朝日新聞 大阪大名誉教授・住田 健二氏

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