散歩道<4217>

                          記者有論・複合巨大災害(3).                          (1)〜(3)続く
                          見える牙、見えぬ不気味さ 

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 今回は、爆発があった建屋の中で何が壊れ、何が無傷なのかさえはっきりしない状況が続く。中の様子は水位や圧力の測定値などをもとに推し量る。人々が気をもみ、不安を募らせるのは、この制約があるからにほかならない。
 原発災害をめぐる一連の発表が揺れることに批判がでているが、その背景にも後者の「見えなさ」がある。
 原子力基本法に「公開」の原則がありながら、事故のときに何があったか判然としない巨大システム。それにどこまでエネルギー供給を委ねるのか。これは今後、原子力政策をめぐる議論で必須の論点となろう。
 「見える牙」の怖さは目を覆うほどだが、それが世界中の人々の心を動かし、支援の申し出が相次ぐ。一方、「見えない不気味さ」は海外で原子力に対する懸念を高めている。
 地震と津波と原発、この三つが複合した巨大災害の情報が今、地球市民の意識を変えつつある。

11.3.17.朝日新聞・編集委員・*1尾関 章氏 

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