散歩道<4216>

                          記者有論・複合巨大災害(2).                          (1)〜(3)続く
                          見える牙、見えぬ不気味さ    

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 ネットでは、津波という見える怖さと、対比したプログにいくつか出あう。情報の海のなかで、とりわけ背筋が寒くなるのは、この二つの脅威である。
 私たちは、家々をのみ込んだ津波がアメーバーのように広がる様子をテレビの空撮影像で見た。そこには、豆粒のように見える車で必死に逃げる人たちがいた。画面のこちらで何の手助けもできない現実に、見ている者の心も乱れた。
 この津波は、もとをただせば地球を覆うプレート(岩板)の動きに原因がある。あの映像で、私たち同時代人は、地球規模の自然現象が見せた牙を目に焼きつけたのである。
 追い討ちをかける原発災害の脅威は、もっと不気味だ。これが「見えない」というとき、そこには二重の意味がある。
 有害な放射線は影もかたちもなく、ちりなどの物質が放射能を帯びているかどうかもわからない。だが、それだけではない。大量の放射性物質を閉じ込めた原発の心臓部にはなかなか近づけず、そこで進行していることが見えてこないのだ。

11.3.17.朝日新聞・編集委員・*1尾関 章氏 

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