散歩道<417>
                    思考停止脱しよう(2):個人の責任逃れるな・              (1)〜(3)続く
     '05.1.6-'05.1.8朝日新聞で報じられた新年・日本の皆さま<416>塩野七生様,<417>安藤忠雄様、<418>矢作俊彦様の文章を3回に分け報告します。          

 

 思考停止脱しよう:個人の責任逃れるな'05.1.6-'05.1.7朝日新聞で報じられた新年・日本のみなさま安藤忠雄様の文章です。
 第2次大戦で日本の敗色が強まる中、駐日大使を務めたフランスの詩人ポール・クロデールが司馬遼太郎様にいった言葉「私が滅亡するのをどうしても欲しない民族がある、それは日本人だ。これほど興味ある太古からの文明をもっている民族を私は知らない。彼らは貧乏だが、高貴だ」。19世紀の日本は西洋から尊敬されていました。今の日本はどうでしょう「ものはあふれているが、想像力はなく、誇りを失っている。私は日本の衰えた現状の根っこに、人々の「思考停止」があると思います。思考停止は生活習慣病としての糖尿病に似ています。いわば「頭の糖尿病」。糖尿病が飽食の時代に急増した典型的な現代病であるように、思考停止も日本社会に急速に広がりました。現代人は物質的な豊かさとマスメディアやインターネット、携帯電話などを媒介してあふれ出す情報におぼれ、自分で考えることを忘れたのです。金さえあれば豊かになれると思いこみ、祖先が大切にしてきた精神文化や、自然環境、伝統を犠牲にしました。それこそわれわれを支えてきた社会的遺伝子であったのに。やがて個人の責任を放棄し、思考停止に至った。高度成長に伴い、一流大学から一流企業へという表面的エリートコースが確立され偏差値教育がはびこった。すべての受験生を共通の尺度で測るセンター試験により。知識詰め込み教育が進み、子供の考える力が失われた。大学は純粋培養の世界、自分の器を磨くかに関心を寄せ、社会のことを自分で考えさせる努力を怠ってきたのです。
思考停止を克服するには経済低迷、少子高齢化、環境破壊、地域間格差、国際競争力の低下。未来を担う子供を救うには、教育と社会システムを改革すること。まず何よりも一人一人が考える努力を取り戻し、今までの消費中心の生活を改め、国際的に深刻な環境問題を考え、謙虚に生きることです。組織の思考停止は責任放棄につながる。現代の閣僚主義社会は、天下りに象徴されるように、身体を張って責任をもてる人間がいない無責任社会。次から次へと責任をたらいまわしにする責任の所在が判然としなくなります。中坊公平様と乱開発で破壊された瀬戸内海の自然環境を取り戻す為「瀬戸内海オリーブ基金」運動を立ち上げ「どんぐり大作戦」にも参加しています。子供が生命の神秘や自然の厳しさを体験してくれることを期待しています。

'05.1.6-'05.1.7朝日新聞・安藤忠雄様

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備考:'08.4.22.朝日新聞では、安藤さんは'08の東京大の入学式で「これからは死にものぐるいで勉強してもらわないと」。「皆さんへ期待の大きさを考えると、そういわざるをえない」。といわれたそうだ。新入生には「1日も早く独り立ちを」、また家族にも「親は子を切ってほしい」と呼びかけられたそうです。