散歩道<418>
もう後戻りできぬ(3)・首相はもっと壊せ・矢作俊彦様 (1)〜(3)続く
'05.1.6-'05.1.8朝日新聞で報じられた新年・日本の皆さま<416>塩野七生様,<417>安藤忠雄様、<418>矢作俊彦様の文章を3回に分け報告します。
'
もう後戻りできぬ・首相はもっと壊せ
3人がイラクで人質に成ったとき、自己責任*2だといったのは、この国は自立した国ではないと言っているようなものです。国民国家という仕組みは「税金を払いなさい。その代わり国が生命財産を守ってやる」.昨秋アメリカへいった時、ケリー陣営が「ノー何々」「ノー誰々」では勝てるわけがない。国連常任理事国になるんだといってもどんなビジョンを掲げ、何をする為の地位につくかを語たられることがない。どれほど得か、気分がいいかということしか言おうとしない。小泉首相が当初熱狂的に迎えられたのもこうした文脈で、しかし、小泉だけが違う。構造改革だの何だのより、その言葉に皆、強いシンパジーを感じた。今、彼の人気が落ちてきているのと、彼の言葉から主語が消えつつあるのは大いに関係がある。ビジュアルイメージはますます政治家の重要な要素になってくる。無論、次の時代の言葉で次の政治、つまり内容あることが語られるに越したことがない。しかし、それ以前に破壊が必要だったのですね。小泉首相*3になって霞が関の伝統が壊れてきた、情報公開は進んだし、内部告発は増えた。自民党を見てもいままでなら、秘密を墓場まで持っていった人が、法廷で洗いざらいしゃべろうとしている。俗に「和の社会」と言われるようなシステムに風穴が開いた。みんな自分のことしか考えない。おかげで悪意や無能が個人名を持ってあぶりだされる。ただ最近、案外この国では、個人も国家も自立してない方が心地良いのかも知れないと思うことがある。この国の近代では、すべての言葉が、何かの代用品だったのではないか。「社会的に自立した個人」などという言葉も、本人でなく、怪獣20面相が化けた何か別物なのかも知れない。しかし、化けの皮がはがれた以上、もう後戻りはきかない。これからの政治に求められるものは長いスパンで考えれば、日米安保条約をリセットする時がくるでしょうね。それ抜きの改憲論議なんて成り立たないですから。憲法は理念でありビジョンでしょう。だから、米軍基地がそこに居すわっている限り、自主憲法なんてものは存立し得ない。日米安保というのは真っ当な国と国との条約じゃないんだもの。そこに目をつぶって憲法改正をするのなら、昭和と共にやっと終わったはずの戦後民主主義だの、象徴天皇制だのという虚構を、新たな、しかももっとも空疎な虚構に置き換えるだけじゃないでしょうか。世界帝国は出現と同時に崩壊が始まるんです。これは歴史の法則です。アメリカの覇権だって決して永遠じゃない。それまでかってアメリカがソ連との政治対立で中国を切り札にしたように、日本はアメリカに対して中国をカードにして、切り抜けるべきです。そういう力業が出来る政治家が必要だ。これからは東アジアの共同体構想が進んでいく。東アジアにインドを足したら人口は地球の半分近くでしょう。それほどの市場だ。今後、日中の関係は死活的に重要だ。アメリカの不安はずっとそこにあった。大体、中国と日本の間に楔を打ってきたのはアメリカだからね。日本の官僚は今、体(てい)たらくですが、それを浄化する特効薬は罰則などではなく、宿命的な目的を与えることです。中国をカードにアメリカと駆け引きすることを覚えさせれば一生懸命やる。これはゲ−ムで、日本は今やオタクとゲームの国なんだから。
'05.1.8.朝日新聞・新年・日本の皆さまに矢作俊彦様の文章が紹介されている。
関連記事:散歩道<50>自己責任、<1919>*2経済気象台(206)自己責任か?、<検>氏名*3小泉首相
27