散歩道<4169> 
                        
                           クルーグマン・コラム・世界食糧危機(1)                   (1)〜(4)続く
                            温室効果ガスへの無策のツケ      

 私たちは世界的な食料危機の真っただ中にいる。この3年間で2度目のことだ。世界の食料価格は小麦、トウモロコシ、砂糖、食用油の価格の大幅な高騰でこの1月、最高値を更新した。食料価格の急上昇は、歴史的に見て依然として低いままである米国のインフレーションには、そこそこにしか影響しなかった。しかし、、世界の貧しい人々には容赦のない打撃となっている。貧しい人々は収入の殆どではないにせよ。その多くを食料に費やしているからだ。
 この食糧危機がもたらす結果は、経済をはるかに超えたものだ。何といっても、中東の腐敗した抑圧的な体制に抗議する数々のデモについて問われているのは、なぜそうしたデモが起こっているかというより、なぜいまデモが起こっているかだろう。法外な食料価格が人々を激怒させる重要な引き金となっているという認識は、まだそれほど広がっていない。
 では、この食料価格の急騰の背景には何があるのだろう。米国の右派の人々(そして中国の人々)は、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和策のせいにしている。あるコメンテーターは「バーナンキ(FRB議長)の手で血塗られている」と言い放った。そしてまた、フランスのサルコジ大統領は投機家たちを「ゆすりと強奪」だと非難した。
 しかし、実際の証拠はそうした話とは異なる、もっと不吉な話であることを示している。様々な要因が食料価格の急騰につながっているが、中でも際だっているのは、数々の過酷な異常気象が農業生産を大きく妨げているということだ。こうした異常気象は、温室効果ガスが増加して地球の気候が変化するに伴い、私たちがまさに目にする現象の一つといえる。要するに、現在の食料価格の急騰は、ほんの始まりに過ぎないのかも知れない。

'11.2.10.朝日新聞 *1クルーグマン

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