散歩道<4168>
   
  
                         耕論・オピニオン・スフィンクスが動いた(3)                        (1)〜(3)続く

 エジプトの混乱が深まれば、米国が中東にかかりきりになり、朝鮮半島情勢や中国への対応に十分な時間と人手を避けなくなる。日本外交にとっては困った状況になる。
 だが、こうした議論はあくまでも仮定の話だ。基本的には、ムバラク前大統領の退陣で全権を握った軍の最高評議会が示した民主化のスケジュール通りに進めば、中東情勢に大きな変化はない思う。
 エジプト軍は毎年13億jの軍事援助を米国から受けており、これは全体の軍事予算の3分の1にあたる。軍にとって対米関係は重要であり、だからこそイスラエルとの関係も重視してきた。一定の影響力を持ち続ける軍は、エジプトに完全な反米政権が生まれることを認めないだろう。
 1979年のイラン革命とよく比較されるが、イラン革命をリードしたのはホメイニ師ら宗教指導者だった。様々な勢力がシャーの体制を倒したが、結局、宗教指導者が他のグループを押さえ、全権を掌握した。
 一方、エジプトの場合、ムスリム同胞団は状況の主役ではなく、後からついて行っている。状況は二元的な対立でなく、むしろ多元化している。だからこそ日本は、金だけでなく人的協力も含めて、エジプト人が真の複数政党制に移行し、言論の自由が広がるような支援に知恵を絞るべきだ。

防衛大学教授・立山良司さん      

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