散歩道<4145>

                         朝日アジアフェローから・GDP3位の日本(2)                 (1)〜(2)続く
                            攻勢かけないと転落一途

 次に本題の日本だが、日本は第3位の地位を今後、確保できるだろうか。結論から言えば油断していると4位以下に早晩落ちてしまう。
 09年のGDPの4位はドイツだが、前途の5年間の成長率は、ドイツの9.1%に対し、日本わずか1.3%だった。これにはこの間の異常なユーロ高が影響しているので、現地通貨建てで予測する方法もあるが、その場合も通貨価値の変動率の予測が必要なため、結局、恣意的
(しいてき)な要素が入る。そこで米ドル建てGDPの過去の伸び率で延ばすと、ドイツが日本を抜くのは15年、他の各国もそれぞれ同様に計算すると、ロシアとフランスが翌16年、ブラジル、スペイン、英国、イタリアが19年、トルコが21年に日本を追い抜く。これは、一計算例でしかないが、10年後には3位はおろかベスト10にも日本は入れない可能性もあるのだ(22年には豪、印、加が抜く)
 これを防ぐには日本経済全体の生産性の向上が不可欠である。名目GDP米ドル換算額は人口×1人当り実質GDP(生産性)×物価×対ドルレートだが、現実には日本の人口は減り、物価も上がらないから結局、技術開発促進,、環太平洋経済連携協定(TPP)を含む大型FTAの締結を中心とする農畜産業の改革と開放など生産性の向上が対策の基本だ。今後は成長でなく成熟だ、というのも一面の真実である。同時に3位転落の警鐘を無にせず、これを機に生産向上に向けた反転攻勢を開始すべきだ。

'11.1.26.朝日新聞・国際経済交流財団会長・畠山 襄(のぼる)

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