散歩道<4135>

                       経済気象台(643)・困るのは「鎖国思想」

 日本経済の長い停滞は、高齢化と人口減に原因があるとする議論が盛んである。
 その主張の根拠となる長期予測によると、2050年には人口は現在の1億2700万人から8900万人にまで減少するという、これは今後も、出世率は変化しない外国人の日本への流入(移住)を認めない、という前提に立っている。特に後者の考え方は危険である。先進国は、悩みながらも「不幸からの脱出」を願う難民や「より幸福になりたい移民」を受け入れている。彼らの生きようとする努力は社会の活力そのものでもある。
 また人口が減るから経済成長はない、との主張もいかがなものだろう。日本を含め、これまでの世界各国の人口とGDPの推移を一覧してみればよい。人口と経済成長とは連動していない。中国をはじめとした東アジア諸国の毎年10%近い成長が、それぞれの国の人口増と連動しているのだろうか。
 終戦直後の日本の総人口は約7200万人だった。現在はその2倍にも達していないのだ。その間、GDPが何倍になっただろう。あるいはロシアや中東など資源国の経済と人口は連動しているだろうか。経済は気候風土や政治制度あるいは宗教、文化など無数の要素によって成り立っている。
 生産年齢人口の低下予測による悲観論も同様だ。欠落しているのは「技術革新」と「国際化」に関する構想力である。付加価値をもたらす人間の知恵(技術革新)は無限であり、グローバル化の進展は急速だ。周辺国としての東アジア諸国とともに、経済発展を遂げることは十分に可能である。困るのはTPP
*1へのためらいに代表される「鎖国思想」である。

'11.1.20.朝日新聞 

関連記事:散歩道<検>政治、<検>社説、<検>言葉・*1TPP