散歩道<4136>     

                        経済気象台(644)・巨大すぎる途上国                  

 昨年の名国国内総生産(GDP)で日本は中国に抜かれ、42年間守った世界2位の座を明け渡した。日本円は過大評価、そして中国元は過小評価の疑いがあるから、実際には2位と3位*1の差は、今以上の開きがあるだろう。
 また、中国企業のレノボ・グループがNECとパソコン事業で提携交渉中と聞く。レノボは、2005年にIBMのパソコン事業をそっくり買収したことで有名な世界4位のパソコンメーカーである。かって日本のパソコン企業は小型化技術で欧米企業を震撼
(しんかん)させたが、コモディティ化が進行する中で強みを失い、現在では各社を合計しても世界シエアは10% 程度というレベルに落ち込んだ。今回の提携を素直に見れば、中国企業の日本企業買収が、子会社とはいえ大企業の分野に及んだということだろう。日本経済、産業、企業の成長戦略に、この中国の強大な経済力を生かすということは当然である。しかし、事はそう単純ではない。胡錦濤(フチンタオ)国家主席はオバマ米大統領との先の会談で、いまだ途上国であることを盾に、為替問題や人権問題に一切の妥協を見せなかった。この姿勢を見るなら、政権交代直後の民主党政権のように、ナイーブな中国友好政策を進めるということでは、主体的な成長路線の遂行すら危ぶまれるだろう。
 米中首脳会談で見せた姿や、南シナ海の領有権問題での姿、昨年の地球温暖化防止の交渉会議(COP16)で途上国を従え期待された合意をつぶした中国の姿は、国際協調より自国の利益、権益を最優先して先進国に追いつこうとした、やはり途上国であった第2次大戦前の日本の姿に重なるとみる論者もいることを、肝に銘じなければならないだろう。

'11.1.25.朝日新聞 

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