散歩道<4134>
         
                        経済気象台(640)・大国の衰亡 

  
 「ビジョナリー・カンパニー」で有料企業の生存と飛躍の法則を見いだしたジェームス・コリンズは、近著「ビジョナリー・カンパニー・3衰退の5段階」で優良企業が衰退する5段階プロセス論を提唱している。
 それは@成功から生まれる傲慢
(ごうまん)A規律なき拡大路線Bリスクと問題の否認C一発逆転策の追求D屈服と凡庸な企業への転換か消滅という、段階をたどるというのである。
 この理論は、企業に限らず、あらゆる組織、ひいては国家にも当てはまるように思える。わが国は、行政と外交に力がないにもかかわらず、1970年代には「ジャパン・アズ・ナンバーワン
*1」とたとえられるほど経済競争力を強めた。この結果,、@放漫になりA海外資産を買いまくる拡大路線にはしった。Bバブル崩壊とその後の長期低迷にもかかわらず、無謬(むびゆう)性にこだわる政府は失敗の現実を否認し続けたCだが、デフレ経済の進行と膨張し続ける財政負担をまかなう為に借金財政路線をひた走り、将来世代にツケを回し続けている。
 日本民族は、20世紀後半のわずかな期間、世界にその存在感を示すことができたが、その後はひたすら下り坂を滑り落ち、辺境の民として世界史の本流からはずれるのであろうか。民主党2代目の首相も1年持つ可能性は小さく、後継者候補にも事欠く惨状には暗然
(あんぜん)とした気分になる。
 だが、コリンズは、著書の中で復活のシナリオもあるとして、IBMなどの実例を挙げている。
 「家貧しくして、孝子あらわる」といい、「窮すれば変じ、変ずれば通ず」という言葉がある。新年にあたり、この国の、特に若者のポテンシャルによる復活を祈念したい。


'11.1.9.朝日新聞 

関連記事:散歩道<640>*1ジャパン・アズ・ナンバーワン<検>社説、<検>企業、