散歩道<4116>
クルーグマン・コラム・アイルランドの苦境(2) (1)〜(4)続く
銀行の食い物にされる人々
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しかし、現実は違った。アイルランドは政府は銀行の「負債」を保証しようと介入した。そして民間部門の損失は公的な債務となってしまった。
銀行が破綻(はたん)する前は、アイルランドの公的債務は小さいものだった。ところが、納税者たちは突然、銀行の巨額な損失で窮地に陥った。歳入が落ち込んだばかりでなく、国の信用格付けにも疑問がつけられた。だから、アイルランドは過酷な歳出削減策で市場の信用を取り戻そうとした。
少し立ち止まって考えてみよう。この巨額の負債は、公的なプログラムを賄うためではなく、自分たちの利益のみを追求した民間のやり手連中によって被ったものだった。それなのに、一般の
アイルランドの市民たちは、こうした負債の重荷に耐えていくことになるのだ。いや、もっと正確に言えば、彼らは負債よりずっと大きなものを背負っていくことになる。なぜなら、こうした歳出削減は厳しい景気後退を招いており、その結果、銀行の負債を抱えこむことに加えて、
アイルランドの人々は収入の落ち込みと高い失業率に苦しんでいるからだ。
しかし、「他に選択肢はない」とまじめな人々は言う。 「市場の信用を回復させるためには、これらはすべて必要だ」。 しかしながら、奇妙な話であることに、市場の信用は改善していない。それどころか、こうした数々の緊縮政策は
アイルランド経済を一層悪化させていると投資家達は気ずき、景気が弱いことを理由に
アイルランドから逃げ出しているのだ。
'10.12.9.朝日新聞・米プリンストン大教授・*1クルーグマン氏
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