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三方よしの精神、発信を(3) (1)〜(3)続く
市場競争に基ずく優勝劣敗があったとしても、敗者は即座に退場するというだけでは日本の社会は存在しない。強者と弱者、大と小、物質と精神、・・・・様々な価値の多様性とバランスに満ちた日本ならではの経済社会の仕組みつくりがいま必要とされる。こうした共存社会の理念は日本に昔から存在していた。江戸中期の進学者、石田梅岩は「商いの心」として「先が立ち,我も立つ」といった。お客様さまや取引先が満足すれば自らもいい結果が得られるという教えである。近江商人「売り手よし、買い手よし、世間よし」という「三方よし」の経営理念をもっていたという。いずれの教えも自分の利益だけを追い求めていては、企業も社会も栄えないという戒めだ。そういう理念は現在にも通じる、いってみればこれは、あらためて問われている企業の社会的責任(CSR)の問題である。日本の商人が300年前からこころに刻んでいたにもかかわらず昨今のグロバル競争に巻き込まれてゆくなか、日本人は徐々にこの精神を忘れてしまったのかもしれない。江戸時代の商人の存在を考えれば日本にはCSRの遺伝子が欧米以上に長く根強く存在していたといっていい、企業とは皆が幸せを実感できる社会の実現のために存在する共同体だ。日本ならではの企業統治のあり方を確立し、それを世界に発信すべきである。
'05.4.11.朝日新聞、資生堂社長・池田守男氏
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備考:三方よしの精神、発信を(1)は4052、三方よしの精神、発信を(2)は4076、にあります。