散歩道<.4099>
文化変調・揺らぐ権威
権威をたたきつぶす流行に歯止めを(2) (1)〜(2)続く
そんなネットワークが段々とうまくいかなくなる。編集者がじっくり育てた作家より、公募で賞をとった作家の方が一発でポピューラーになってしまう。以前のネットワークの続きにのような知的サロンをつくり直したいと思って、私は佐治敬三さんを手伝って1979年にサントリー学芸賞を創設した.権力ではなく、「権威の集団」を作りたいのだ。
大衆化社会によっていまや5割以上が大学に進む。みんな自分は偉いと思い、壇上の人を引きずり下ろそうとする。戦争と全体主義の時代を経験し、権力は嫌だ、権威も一緒くたに嫌いだ、と否定の気持ちが強くなった。これは世界的な流行でもある。
大学が増え、女性も教育を受け、多くの人が進学する。これはすべての個人が向上し、自分の権威を高めよとする努力なのに、自分の上に権威があることを認めないのは、矛盾だろう。
権威を妄信せよというのではない。ただ、そろそろ権威をたたきつぶす流行に歯止めをかけなければ、文明は無政府状態に陥ってしまう。
'10.12.8.朝日新聞 評論家・*1山崎正和氏
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