散歩道<.4098>
文化変調・揺らぐ権威
権威をたたきつぶす流行に歯止めを(1) (1)〜(2)続く
あらゆる権威が落ちている。大学、医師、マスコミ、さらには検察・・・。権威をたたきつぶすことが時代の流行となって久しい。権威も権力も一緒くたに「悪いもの」だと思われているが、実はそうではない。権力は最小限度に制限すべきだが、権威は社会に必要な物なのだ。
権威とは情報探索の手がかりで、電話帳のようなもの。あふれるような情報の中から必要なもの、信頼できるものを、権威あるプロが整理・選択してくれるから、私たちは確かな情報にたどりつける。現在はブログやツイッターなど情報拡散が進み、ますます整理・選択が必要とされる社会なのに、そのための中心がなくなりつつある。論壇、文壇も権威を失って久しいが、それ自体がかって大学の講壇に反抗して生まれたのは、皮肉である。
20代の後半に生業として書き始めた私は「壇」を感じることはあまりなかった。文壇も論壇もひとつの社会ではなく、多元的だった。編集者を中心に作家、評論家が集まる緩やかなネットワークが、出版社ごと、新聞社ごとにあった。しばしば顔を合わせ、飲み、語り合い、相互評価を交わす、自由な社交だった。
'10.12.8.朝日新聞 評論家・*1山崎正和氏
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