散歩道<4086>       
                           耕論・「成長」を相対化する(2)               (1)〜(4)続く     ・・・・・発想を変える
                               
「消費頼み」モデルを変えよ


          
 1929年の世界大恐慌を原因を端的に説明すれば、過剰な生産に消費が追いつかなかったということだ。これを受けてケインズが提唱したのが、経済が失速した際、政府が需要を喚起しなければならないという考えだった。消費が増えれば雇用が生まれ、経済全体が好転する。70年代の石油危機でこの理論に疑問符が付いたとはいえ、主要な経済モデルとして継承された。
 成長をがむしゃらに追い求める傾向は、マネタリズムの台頭で加速した。金融機関は将来の成長を見込んで信用取引を一気に拡大し、経済を軌道に乗せ続けるために、デリバティブ(金融派生商品)をどんどん売り出した。
 今回の危機は、このような経済の仕組みが三つの課題に直面していることを想起させてくれた。
 まず、信用取引の拡大により個人の借金を増やしつづければ、実態経済そのものが衰えるということだ。次に、大量消費をあおることは、人々を精神的に豊にしないことが明らかになった。三つ目に、自然環境の制約も露呈し、気候の変動の懸念だけでなく、金属や鉱物など重要な資源が数年後、十数年後に枯渇するということが現実味を帯びてきた。


'11.1.15.朝日新聞英サリー大教授・ティム・ジャックソンさん

関連記事:散歩道<検>社説、<検>環境、自然、