散歩道<4087>
耕論・「成長」を相対化する(3) (1)〜(4)続く
「消費頼み」モデルを変えよ
環境負荷を抑制
こうした課題にどのように立ち向かえばいいのか。やはり重要なのは、政府の役割だ。ただ、多くの国の政府は今、ワナにはまっている。政府は人々の精神の豊かさや自然環境を守ろうとすると同時に、社会の安定のために経済成長を求めようとする。このジレンマから抜け出す唯一の道は、物質的な消費の拡大に基づく経済モデルとは異なる別のシステムを作り上げることだ。それにはまず、各国の政府は次の三つのことから始めるだろう。
第一に、自然環境の制約を尊重することだ。成長に伴う環境への悪影響を減らすため、我々は省エネや技術革新に努めてきた。しかし環境に負荷をかけないで成長が可能になったという明確な証拠はない。環境負荷を抑えるため、二酸化炭素(CO2)の排出量を制限するような目標値の設定が望ましい。2050年までに排出量を現在より30%削減するといった具体的な数値を法律で定める方法もある。CO2規制のほかにも、生物多様性を守るための数値目標を考えてもいい。水質や土壌についても数値化できるはずだ。
第二に、持続可能なマクロ経済の構築だ。経済システムを安定させるため、消費拡大を目指す投資から、有形無形の資産を守るための投資へと力点を移す必要がある。たとえば、低炭素型技術を開発するための投資を増やしたり、湿地や熱帯雨林、動植物の生息地など自然環境という資産のを守るために投資したりするべきだろう。
'11.1.15.朝日新聞英サリー大教授・ティム・ジャックソンさん
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