散歩道<4084>

                         耕論・「成長」を相対化する(4)                        (1)〜(4)続く 
                             
「内需の縮小」こそが病根だ

若者にお金を回せ
 輸出は大丈夫としても、日本経済をむしばむ、生産年齢人口の減少に伴う内需の縮小にはどう対処すればいいのでしょうか。私は、高齢富裕層から若い世代や女性への所得移転を強く促進すべきだと思います。消費性向は子育て中の世代や女性の方が高いからです。お金がなくて結婚をためらっている若者の所得を増やせば、結婚難→出生者減少→生産年齢人口減少というサイクルからの脱出にもつながります。
 2010年から40年にかけて生産年齢人口は3割減りますが、残る7割の現役世代の所得を1人当り1.4倍に増やせば,現役世代の内需の総量は殆ど減らない計算になります。日本の1人当りの国民所得は、スイスやスウェーデンの6割前後です。国際競争力を維持しつつ個人所得を伸ばす余地は十分にあります。
 団塊世代の定年によって浮いてくる人権費を、モノを消費しない高齢富裕層への配当には回さずに、若い世代の人件費や、子育ての中の社員の福利厚生費の増額に充てませんか。
 若者の低賃金長時間労働は、内需を縮小させ、企業らの利益を損なっています。賃上げ→内需拡大→売上げ増加という好循環を生む第一歩を、それができる企業が自ら踏み出すべきです。

'11.1.15.朝日新聞・日本政策投資銀行参事役・ 藻谷 浩介氏

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