散歩道<4067>

                               ザ・コラム領土の外交(2)                         (1)(4)続く
                              正論ですめば苦労はいらぬ      

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  折りしも日中の間には尖閣諸島で事件が起きていた。そこにロシアの参入。しかも中ロの首脳は9月末に「第2次大戦終結65年記念」の共同声明を出す蜜月ぶりを見せたとあって、日本としても気になるところだ。
 あたかも挟み撃ちにあった形だが、かって毛沢東首席が北方領土の返還要求に「原則的には賛成だ」と語ったのを中国首脳はご存じか。64年7月、社会党の訪中視察団(佐々木更三団長)と会った際のことである。
 毛発言について「千島列島全体が日本の領土だと言った。だからソ連が怒った」と回想したのは、72年9月に北京で田中角栄首相と会談した周恩来首相。「四つの島を取り返すのは大変だ」「日本の困難に同情する」などと述べていた。
 とはいえ、これは中ソが対立し、国境で中ソも領土争いをしていたころの話。その紛争も2004年に係争地を半々に分け合って片づけた。そんな中国首脳には、もはや日本への「同情」はないのだろう。
 北方四島と尖閣諸島。韓国では「日本は二つの領土戦争中」(中央日報)などと報じているが、もう一つお忘れではありませんか。「三つの」と書かないのは、自国が占拠する竹島(独島)に「領土問題はない」という建前からだろう。
 かってソ連が「日ソ間に領土問題はない」とにべもなかったころを思い出すが、目を尖閣に転じれば、島を支配する日本政府がいま「領土問題はない」と繰り返している。
 
'10,11,10,朝日新聞・本社コラムニスト・*2若宮啓文氏 

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