散歩道<4063>
経済気象台(634)・デフレの賞味期限
デフレ回避と雇用の拡大をうたった米国のQE2(量的緩和第2弾)が、内外で批判の対象になっている。先に韓国・慶州で開かれた20ヶ国・地域財務相・中央銀行総裁会議では、米国のQE2に対して、その影響を受ける周辺国からあからさまな批判が出た。あたかも、米国ガリバーの手足を小人達がひもで結びつける形だが、これは戦後65年の中でも初めての事態だ。新興国には米国からあふれ出たドルが大量に流入し、インフレやバブルを起こすようになっているためだ。
中でも既に食料品価格が大幅に上昇している中国は、利上げをすれば一層元高になり、さりとて下落リスクの大きいドルを買って介入するわけにもいかない。結局米国の思惑通り人民元の上昇を容認せざるを得なくなる。
米国内でも共和党議員などから強い反発がみられる。特に、構造的な失業問題を、国債の買い入れ、流動性の追加で対処しようとすれば、大幅なインフレという犠牲を払うことになり、国民は耐えられないとする。
片や日本では一周遅れの議論がなされる。みんなの党は日銀法を改正し、物価目標を政府が決め、デフレの抑制を通じて雇用の拡大を図るよう日銀の責任を追加させると言う。
しかし、日本の消費者物価は最近5年でも、15年でみてもほとんど横ばいで、日本はデフレもインフレもない。世界に例を見ない超物価安定国だ。それをあえてインフレに誘導すれば、所得分配や資源配分にゆがみが生じる。
米国も日本も、デフレという言葉は既に賞味期限*1切れの感があるが、それでもデフレを盾に異常なまでの量的緩和を進める。国民生活よりも当局の論理が先行しすぎていないだろうか。
'10.12.7.朝日新聞
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