散歩道<4062>

                           経済気象台(633)・現代人の家計簿  

 映画「武士の家計簿」が4日封切られる。加藤藩の武家の家計簿を分析した茨城大の磯田道史准教授の本の映画化だ。当時、武士の家計も交際や儀礼の行事などの支出が多く、決して楽ではなかった。
 現代に生きる日本人の家計の状況は、総務省統計局が発表している「家計調査年報」から探ることが出来る。それを見ると、バブル崩壊当時の1993年から2009年までの17年間で、日本の消費支出は、前年比増の年は若干あるものの、長い右肩下がりの状況が続いている。「いざなぎ景気」超えと騒がれた06年ですら、不況が始まった93、94年当時の消費支出には遠くおよばない。
 背景には、景気回復と騒がれた期間も生活者の収入は回復せず、長期にわたり家計の苦しい状況が続いていることがあげられる。そして、日本人が不況の間に培った様々な工夫により、生活レベルを下げずに消費を抑えたことが影響している。
 一方で、デフレなどにより、98年をピークに日本の消費者物価が低下していることも大きな要因だ。17年間で消費支出が大きく減少した項目がある。2人以上の勤労者世帯で食料、被服及び履物、小遣い、交際費が下がっている。激安カジュアルブランドの登場により、衣料などは新しい消費スタイルが定着した。小遣い半減は、世の中の活気を失わせている。
 逆に、光熱費、保険医療費、通信費、教育費は不況の中でも増え、家計を苦しめている。また外食費や、教養娯楽費は、減少幅が比較的小さい。長引く不況下での節約に飽き、消費欲を発散させ、コントロールしている生活者の状況と、うかがえなくもない。師走、一年の家計を振り返る時期でもある。

'10.12.2.朝日新聞   

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