散歩道<4045>

                        ザ・コラム・TPPと農業(1)                      (1)〜(4)続く
                           内需拡大こそ競争力強める

 世界規模で行われる貿易の自由化は、すべての国の人々を豊かにする。その為、150以上もの国々が参加する世界貿易機関(WTO)の枠組みで、自由化が進められてきた。その結果、農業など政治的に自由化の難しい分野が残り、特定地域内の少数の国々だけで貿易や資本の自由化を目指す経済協定が取りざたされている。 そこでは、域外諸国との貿易障壁を高めたり、ブロック化したりすることのないようにすれば、世界規模の自由化進展につながると期待されている。菅首相が参加検討を表明した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)は、その一例だ。
 しかし貿易理論では、貿易とともに資本移動も自由化すると、少しでも生産性の低い産業が壊滅的な打撃を受ける。つまり、貿易自由化が大きな政治的摩擦を生む。このことは農業問題に典型的に表れている。
 これに対し、日本農業を再生し、競争力をつければよいという主張がある。しかし、農業を効率化すれば農業も工業も国際競争力を持つ、ということは実はあり得ない。両方が世界に勝てば、経常収支の黒字がたまって円高が進行し、相対的に弱い分野が必ず衰退するからだ。政治問題化は避けられない。

'10.11.24。朝日新聞・大阪大フェロー・小野 善康氏

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