散歩道<4042>

                              ザ・コラム・遠野物語(3)                          (1)〜(4)続く
                              百年の知恵 町おこしに

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 「日本のふるさとの風景が、
遠野ほど残っている町は少ない。「遠野物語」が、ふるさとを大切にする地元意識をかきたててきたからでしょう」
 民俗学者の赤坂憲雄氏はそういう。「遠野物語」は、近代化で社会が大きく変わる時期に書かれた。戦後の高度成長期には村の原風景が失われ、再び柳田ブームが起きた。だが過疎化と少子高齢化が進む今は、村そのものが
崩壊しつつある。赤坂氏は最近、山村でお年寄りから「山が押し寄せてくる」という言葉を聞く機会が増えた。
 「日本では里山近くに人が住み、村の力で山とバランスをとってきた。今は奥山が、過疎化で荒れた里山をのみ込み、里にまであふれるようとしている」
 この夏、熊や猿、鹿などが里に出没したのも、こうした「山村崩壊」と無縁ではない。そう赤坂氏は危機感を強めている。
 「遠野物語」の前年、柳田は民俗学の原点「後狩詞記」
(のちのひかりことばのき)を自費出版した。宮崎県椎葉村で、共同の狩猟の伝承を現地調査した記録だ。険しい山々が連なるその椎葉村を、先週訪れた。

'10.11.17.朝日新聞・編集委員・*1外岡秀俊氏


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