散歩道<4027>

                              美術展・上村松園展

 ここに描かれた女性ほど、日本人の美しさを表現した絵は他の画家では中々見つけることが難しいと思う。私は実はこの展示会を二度見たが、何回観ても素晴らしいというのが正直な感想である。明治、大正、昭和3代にわたる世代を超えて、いい意味の若い日本人女性の姿、実に清潔で、つつましく、品のよさを感じさせる絵画展である。ここの絵には、和服、和傘、すだれ、しゃぼん玉、春、春宵、風、花見、人生の花、蛍、虫の音、納涼、夕暮れ*1、晩秋、初雪、などの当時の風物詩が、1年を通しての季節感とともに、描かれた作品の素晴らしさ。又、古典を題材にした絵など、見る程に女性の美しさと、人の温(ぬく)もりを感じさせるのである、既に20代前半で、完璧に近い作品が描かれていたと、私には見えるが、年齢とともに、又、生活環境の変化とともにその心情が表現されていると紹介されている。私は美しさを中心に観ていたが、松園が描きたかったのは、女性のなまめかしさよりも、意志の強さを描き出すことを好んだと解説されていた。2回目とも圧倒的に女性の観客で埋まっていた。
 場内の解説に、人間の感情をありありと描くと、ともすれば卑俗な雰囲気が漂う。それをさけるため、古典を参照にその気品の高さまでも自分の作品に取り入れようとした。この文章に、
('10.12.10.国立国際美術館・大阪店の・「ウフィツ美術館自画像コレクシヨン」の中で、俗化していく世の中の画流の傾向に抵抗して、歯止めするため、バロックの様式を取り入れるようにしたと解説されていた文章を思い出した。「聖書に実に上品でわかりやすく、信仰心を誘う、それ以降発展した芸術様式をバロックというという」文章である)。又、静止した動きの中で、内面の眼差しの向こうで、微妙に動く様子を松園は描いているという記述に興味を持った。
 お孫さんにあたる、上村淳也さんが日曜美術館で、松園さんのことを、絵に対する情熱は亡くなるまで衰えることなく、筆を持ち続けられた実に偉い人であったと、祖母ながらお話になっていたのが印象的であった。

関連記事:散歩道<検>上村松篁123、<検>上村淳之700.708、<検>上村松園1460<検>絵画展

備考:*1この解説、「日が暮れていくなか、障子を開け、針に糸を通そうとする女性の姿。松園は幼い頃、母のこうした姿をしばしば目にしたと」書かれている。この話に、朝日新聞、学ぶ・「おやじのせなか」の記事や、散歩道<4020>NIE学会の中で発表になった、家庭環境の中に「経済格差」ならず、「活字環境格差」が生じているという発表を思い出した。子供は別に言葉で話さなくても日頃の姿から、自然と覚えるものなのです。