散歩道<4014>
オピニオン・日本@世界
国際政治は魔の2年間へ・・・・外交・経済・人材を強化せよ(4) (1)〜(6)続く
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こうした挑戦を前に、日本の課題は明白である。外交力を強める、その基である経済力を再生させる、そしてそのまた基であるグローバル人材力を強化する、ことである。
日本外交の眼目は、「自由で開かれた国際秩序」を他国と協調して構築することである。この秩序は、自由、無差別、多角的な貿易・投資体制の維持、公共財としての海洋、宇宙、サイバー空間の保証、『法の支配』。小国の権利尊重、などを原則としている。核、テロ、気候変動、疫病などの脅威の多様化とリスクの増大によって、多発する恐れのある武力紛争を予知し、予防することも大切である。食糧とエネルギーの価格騰貴が再び襲ってくる可能性が強い。代替エネルギー開発と低炭素社会の実現は待ったなしである。
これらの分野の外交は、そのほとんどがマルチ(多角的)協議を必要とする。アジェンダー(課題)を決め、会議を招集し、それを仕切り、草案を起草し、参加者の異なる主張と利害を折り合わせ、その場で草案を修正し、政治的に演出する、それを英語で行う。日本はそうしたマルチ外交力を磨かなくてはならない。
経済力再生のカギは、財政を立て直し、国際競争力を向上させ、グローバル人材を育成することである。グローバル人材とは、グローバルに活躍する上で欠かせない語学力や異文化理解・活用力を身につけている人材だが、「新世界」状況の下では「新興国や開発途上国の人々と共同作業が出来て、チーム・リーダーシップを発揮できる人材」(宮田裕子ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス取締役)である。
新中産階層によるボリュームゾーン需要が急増する「新興国市場に飛び込み、新規事業を開拓することのできるグローバル人材は世界どこからも引く手あまたである。日本企業からのニーズも高い。
それなのに国内はデフレの深まりで大卒の6人に1人が就職できない。グローバル人材の育成で日本は大きく出遅れている。米国への社内留学の志望者が1人もいなかったとか、アフリカに赴任を希望する若者がゼロになったといった慨嘆を大手企業の経営者から聞く。09年度の国際協力機構(JAICA)青年海外協力隊の応募者(4752人)は、ピーク時(94年)の半分以下に減少している。若者の”ひきこもり”現象は、日本企業、行政、そして教育現場がグローバル人材を十分に育て、使ってこなかったことの結果である。
'10.12.1.朝日新聞・本社主筆・*1船橋洋一氏