散歩道<4011>
オピニオン・日本@世界
外交・安保、国民守れるか(1) (1)〜(6)続く
北朝鮮の大延坪島(テヨンピヨンド)攻撃は、北朝鮮の体制危機が、米国に対する「恫喝(どうかつ)による求愛」に訴える従来の瀬戸際外交とは違う。異次元の様相を示し始めたことを予感させる。
1953年の朝鮮戦争休戦協定以降の北東アジアの冷戦の下で凝固してきた北東アジアの構造が最も脆弱(ぜいじゃく)な環から融け始めたようでもある。
北朝鮮をめぐってはこれまでも幾多の危機が起こった。しかし、今回は、核を保有し、さらにウラン濃縮に着手する北朝鮮が世襲3代目への権力継承を行おうとするまさにその時点で危機が勃発した。世界経済が一段と混迷する中、米国が大きく揺らぎ、それを尻目に中国が躍進する国際政治の潮流の激変の中で、危機は深まっている。
韓米日とも中国に北朝鮮へのこれまで以上に強い圧力を求めている。また、北朝鮮を抑止するために、米国は空母を黄海に派遣し、米韓は合同軍事演習を行った。中国は演習は北朝鮮を刺激しかねないとし、「中国の経済水域の中で行うことに反対」と米韓を牽制(けんせい)した。北朝鮮をめぐる米韓、さらには日米韓と中国の対応の深刻なズレは、北朝鮮の核と体制だけでなく、将来ありうべき朝鮮半島の統一と統一後の北東アジアの地域秩序構想をめぐる葛藤の予兆とみることも出来る。異次元の領域というのはそういうことでもある。
朝鮮半島は歴史的に日本の地質学的アキレス腱(けん)であり続けてきた。
日清戦争.日露戦争、満州事変のいずれも、半島と間島(現中国北東・延辺地方)をめぐる国際政治の葛藤に日本が的確に対応できなかったことに起因するところが大きい。米国、そして中国も、朝鮮半島への関与では時につまずいた。
「国を守る」。外交と安全保障の是非と巧拙が、国の命運を決する状況が再び生まれつつある。
'10.12.1.朝日新聞・本社主筆・*1船橋洋一氏
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