散歩道<4001>

                             社説・イトカワの砂(2)                    (1)〜(2)続く
                           
あっぱれを、次の宇宙へ

 道のり60億`に及ぶ旅の途中で交信が途切れ、エンジンも故障した。南天を赤く燃やした、この6月のはやぶさの奇跡的な帰還は記憶に新しい。
 プロジェクトを率いた宇宙航空研究開発機構の川口淳一郎教授が「帰ってきただけでも夢のようだったのにその上」というように、ちっぽけな「はやぶさ君」は今度もまた、うれしい方へ予想を裏切ってくれた。「あっぱれ」
*1というしかない。
 はやぶさの構想は四半世紀前、若い研究者の挑戦から始まった。計画の着手からも15年かかった。川口さんはさらに「宇宙科学研究所として40年以上に及ぶ積み重ねがあってこそです」という。加えて、野心的な目標と、高い技術力、研究者たちの献身的な努力が「オンリーワン」の成果を生んだ。
 野心的な計画は、若者たちにとって多くを学ぶ場になったことだろう。だが、アジア諸国が研究に力を入れる今、日本の科学は陰りとも言われる。
 私たちはなぜ、自然科学の探求を続けるのか。すぐに実利に結びつくわけではないが、知を求める不断の情熱が人類を進歩させてきたことは疑いない。時代に応じた予算のバランスをとりつつ、若者が研究に打ち込み、存分に独走性を発揮できるような研究環境を整えていく必要がある。

'10.11.18.朝日新聞 

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